
About the Museum
About
美術館について
Musée Lacuna(ミュゼ・ラクナ)は、失われたものを展示する美術館です。
ラテン語で「欠落」「空白」を意味する名の通り、当館は満たされたものではなく、満たされなかったものの側に立ちます。
Statement
失われた
時代の記憶を、
永遠に。
美術館とは、遺されたものを保つ場所であると同時に、失われたものの輪郭を映す場所でもあります。完成した作品の背後には、描かれなかった構図、削られた素描、記録から漏れた来歴が横たわっています。Musée Lacuna は、その欠落そのものを収蔵の対象とします。
収蔵とは、ものを所有することではありません。かたちを失ったもの、名を持たなかったもの、記録の余白に沈んでいったもの——それらの不在を、当館は一点ずつ台帳に記します。目録に並ぶのは、しばしば作品そのものではなく、作品が在ったという事実の輪郭です。
1987年の開館以来、当館は古典絵画・彫刻・版画・素描の四つの領域にわたって蒐集を続けてきました。作品が「何を伝えているか」だけでなく、「何を欠いているか」にも、来館者の視線を向けていただきたいと考えています。
修復の手が届かないものがあります。褪せた色は戻せても、失われた意図は戻りません。だからこそ当館は、補うことよりも、欠けたまま示すことを選びます。空白を空白として遺すこと——それは沈黙に似た、もっとも慎ましい保存のかたちです。
欠落は、隠されるべき瑕疵ではありません。埋められない空白を空白のまま示すこと——それが、失われた時代の記憶を永遠に留めるための、私たちの唯一のやり方です。
History — Since 1987
- 1987
開館
「失われたものを展示する」という一点の理念のもと、Musée Lacuna 開館。以後、四つの領域にわたる蒐集を続けている。
- 1991
第一室・古典絵画の整備
17世紀から19世紀の肖像・風景・宗教画を収蔵する第一室を開室。来館者を最初に迎える、館の起点となる展示室として構成された。
- 1996
初期記録の編纂
散逸していた収蔵記録の編纂事業を開始。多くの作品の来歴が、この時期にあらためて整理された。
- 1998
第二室・彫刻室の開室
大理石彫刻とブロンズ像を中心とする第二室を開室。古代から近代にいたる立体作品を通して、人体表現の移り変わりをたどる構成とした。
- 2004
版画・素描室の再照明
光に弱い紙の作品を守るため、第三室の照度を落とす改修を実施。落ち着いた環境で版画・素描をご覧いただけるようになった。
- 2016
収蔵記録のデジタル化
全所蔵作品の記録をデジタルアーカイブとして整備。1996年に始まった編纂事業を引き継ぎ、調査と保存の基盤を新たにした。
Curators
The Curators
当館の展示と研究を担う学芸員をご紹介します。それぞれの専門を通して、コレクションの調査と展示構成にあたっています。

館長 / Director
霧島 藍
Ai Kirishima
近代絵画史を専門とし、1996年の初期記録編纂事業を主導。作品と来館者をつなぐ展示のあり方を、館の運営の中心に据える。

主任学芸員 / Chief Curator
H. ヴァランタン
H. Valantin
彫刻および立体作品を担当。古代から近代にいたる彫刻の調査と、第二室の展示構成を手がける。

学芸員 / Curator
白石 玲
Rei Shiraishi
17世紀から19世紀の古典絵画を担当。第一室の展示構成と、肖像・風景・宗教画の来歴調査にあたる。

学芸員 / Curator
遠野 詩
Uta Tono
版画・素描を担当。紙という記録媒体の脆さと、照度を落とした展示空間の設計に取り組む。

記録・アーカイブ / Registrar
E. ルー
E. Roux
収蔵記録とアーカイブを担当。2016年のデジタル化以降、来歴調査と資料の整備を継続する。

保存修復 / Conservation
M. デュボワ
M. Dubois
作品の保存と修復を担当。展示環境の管理と、収蔵品の状態調査・記録にあたる。